調理実習

いきなりリュウが登校拒否宣言をした。
よくよく聞くと今日は家庭科で調理実習があるらしい。
作るのはゆで卵と温野菜のサラダ。
材料を聞いただけで、リュウはドン引きだったらしい。
好き嫌いの多いリュウは本当に食べ物が弱点だ。
給食でもずいぶん大目に見てもらっている。

先日もダンナとイジメについて話し合ったが
いじめられる子についての話で盛り上がった。
なにかしら人は弱点があって
その弱点がイジメの対象になることが多い。
しかし、人間だれしも努力をすれば
弱点が克服できるとは限らない。
じゃあ、そういう時はどうすればいいのか?
開き直ればいい。
弱点を隠すから、ヒソヒソと影で言われるのだ。
逆に善良な人達までも、触れてはいけないかと
腫れ物をさわるようになる。
いい例がズラだ。
勇気はいるが、「これズラなんだ」と
カミングアウトすれば、怖いものなしだ。
女性社員からも「あった方がかっこいいですよ」
なんて正直に言ってもらえれば、心強い。
部下から痛々しい目で見られた時などは
「最近のカツラはいいぞ、君もこの感じでは
てっぺんが危ないな。
その時はいつでも相談にのってやるからな。ははは。」
…という上司の方が部下も慕ってくると思う。
ダンナは2歳の時に両親が離婚している。
小学校や多感な時期、それを隠すことはしなかった。
同じクラスにもう一人同じ境遇の男の子がいたが
その子は<お父さんがいない>ことを言われると
よく泣いていたらしい。
しかし泣くと
腫れ物になるか
いじめられるかどっちかだ。
ダンナは、自分は何も悪くないのに
なんで泣くのだろうと思っていたし
ましてそれを隠す必要など全然なかった、と言う。
逆に先に言っておいた方が楽だとさえ言っていた。
それを思い出し、その話をリュウに伝えた。そして
「先に班のみんなに言いなよ。
作るのはいいけど、食べるのはダメなんだ、って。
努力はするけど、残したらごめんって。」
言うのは勇気がいるけど、正直に言えば
みんなわかってくれると思うよ。
隠れたり、黙っていたらみんな勝手なことを
言うから、その方がつらいことになるよ。

なんとか1時間目の授業には間に合うように登校した。
私はあんなことは言ったものの、正直どきどきで
1日中、落ち着かなかった。
みんなにちゃんと言えただろうか?
非難されてはいないだろうか?
そしていつも通りの時間に、
ケンもリュウも元気よく帰って来た(ホッ)。
さっそく、リュウに調理実習の話を聞いてみると
と、班内で需要と供給が一致したそうだ。
めでたしめでたし(?)
弱点はだれにでもあるよね。
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